自社で運用のWebをSAML/シングルサインオンによる認証機能付きで構築&運用する場合の構成です。公開用のWebサイトはもちろん、LAN側に設置の社内ローカルなWebサイトもIDaaSサービスの「CloudGate UNO」を利用してSAML2.0認証で運用するすることが出来ます。
一般的なWebページやWordPressで作成のWebページをSAML2.0/SSOでアクセスさせます。またSP/Webの2重化による負荷分散での運用も可能です。
今回はIDaaSサービスを提供のISR社の「CloudGate UNO」をidPとして、利用する場合の構成例です。SSO対応の自社Webを任意の場所で運用が出来ます。
SAML2.0認証
シングルサインオンのSAML認証の場合には、ユーザーアカウント管理の機能を持つ idP(アイデンティティ・プロバイダ)とその情報を利用するSP(サービス・プロバイダ)で構成されます。
ユーザーアカウント不要
SPとなるWebサーバーには個別ユーザーのアカウントを作成することなく、SAML認証でWebへアクセスさせることが出来ます。また部門や社員、会員ごとにWebへのアクセスコントロールの設定・運用にも対応。Webサーバー側にユーザーアカウントがないため、SP側からアカウント漏洩の心配はありません。
SP(サービス・プロバイダ)
今回はSPとして、SAML2.0に対応したSSOのWebサーバー機能を持つ 「Powered BLUE Web for SSO/IDaaS」を利用します。
SPの機能としては
- SAML2.0対応のWebサーバー機能
- Webサーバー/SP側にユーザーアカウントを作成することなく、SAML認証&グループアクセスのコントロールでの運用に対応
- インターネットサーバー機能(Mail/Web/DNS/ftp)
- WordPress / Let’s Encrypt 対応 / php 7.x 対応
- ひとり情シス対応
のオールインワンで運用出来るアプライアンスサーバーです。
CentOSやRedHat 上で動作し、AWS/Azure/Fujitsu Cloud Service for OSS(4OSS) / Enterprise Cloud などのクラウド環境や、VMware/Hyper-Vなどの仮想環境で運用することが出来ます。
またCentOS/RedHatで動作するアプリやサードパーティのソフトを組込んでの運用も可能です。
idP(アイデンティティ・プロバイダ)
idPとしてはSAMLに対応の CloudGate UNO の他に G Suite、Azure ADやTrustLogin、HENNGE ONE(旧HDE ONE)、OneLogin、Okta等のIDaaSと連携が出来ます。また自社で運用のidP (OpenAM / KeyCloak)などとの連携も可能です。
ネットワーク構成例
SAMLは仕様上、idPとSPの直接の通信を行わない構成が可能です(SP-initiated SAML)
ユーザーのブラウザを経由してidPとSP間の通信を行うので、ネットワークやセキュリティ面で制約がある場合でも運用が出来ます
SP(サービスプロバイダ)は任意の場所に設置&運用が出来ます(LAN内の設置でもWAN側のidP/CloudGate UNOでの認証が可能)
SPとIdPの通信手順
1)ユーザーがブラウザでSP(Web)へアクセス
2)SPで認証要求メッセージを作成
3)ブラウザは認証要求メッセージをidPへ転送
4)idPは認証要求メッセージを受信
5)idPは認証応答メッセージを作成
6)ブラウザはidPからの応答メッセージをSPへ転送
7)SPが認証応答メッセージを受信&検証
8)ユーザーはSP上のWebサイトへログイン
LAN内に設置のWebサイト/spとidPの例
LAN側に設置のWeb・SP(サービスプロバイダ)へのアクセス認証をWAN側のidPやIDaaSで行う
こんな使い方が出来ます
1)LANでの運用例 SP/社内専用のWebサーバーをLAN内に設置
- 社内用のWebサーバーをLAN内に設置
- 総務部・技術部・営業部など部門ごとにWebサイトへのアクセス制限を設定
- Webサーバー上には、ユーザーアカウントは不要
2)WANでの運用例 SP/公開用のWebサーバーをWAN側に設置
- Webサイトを作成
- トップページはワールドワイドに公開
- 特定のディレクトリは、社員・会員・代理店のみにアクセスを許可
- Webサーバー上には、ユーザーアカウントは不要
3)利用例
- アルバイト社員の勤怠表Webページ
- 社員向け連絡版のWebページ
- 代理店向けの製品資料の閲覧やダウンロードページ
- 会員向けの特定情報Webページ
こんなメリットがあります
- Webサーバーにアカウントがないのでサーバーのメンテナンスが簡単
- Webサーバーからのユーザーアカウント漏洩の心配は不要
- 自社のWebサイトをSAML認証でセキュアに運用
SAML2.0の設定例
http://wp-sam.mubit.jp/ 以下の指定ディレクトリにSAML2.0の認証を設定する例です
- idP
「CloudGate UNO」
- SP
「Powered BLUE Web for SSO/IDaaS」
を利用します。
idPとSPにそれぞれ、SAML認証の設定を行います。
Web/SP側の設定
「Powered BLUE Web for SSO/IDaaS」にSPとなるWebを運用する仮想サイトを作成します
以下のサイトを作成します
例 http://wp-sam.mubit.jp/
Webサーバの有効化
Webサーバーを有効にする にチェックを入れます
仮想サイトのSSL化
SAML認証に際しては、WebサイトのSSL化が必須です。
SSLのサーバー証明書としては
- サイトのSSL自己証明
- パブリックなSSLサーバー証明書のインポート
- Let’s EncryptでのSSLサーバー証明書
に対応しています。
自己証明の場合
SSLを有効にする にチェックを入れます
パブリックなSSLサーバー証明書の場合
必要情報を記載して「署名リクエストの作成」ボタンで作成したテキストを、SSLサーバー証明書を発行する機関へ送付します。
- 「署名リクエストの作成」でファイルを保存
- 作成された「署名リクエスト」 ファイル signig-request.txt を、公的なSSLサーバー証明書の発行機関へ送付
- 公的機関で発行された、サーバー証明書を 「インポート」 します
- 中間証明書のインポートにも対応しています
SSLサーバー証明書が発行されたら「インポート」ボタン操作でSSLサーバー証明書をインポートします
Let’s Encryptを利用の場合
サーバーのフリープラグイン機能を利用して、Let’s Encryprt プログラムをインポートします
FreeSSLを選択
インストールボタンをクリック
Let’s Encryptインストール後に 有効にする にチェックを入れます
Webサイト
作成した仮想サイトには、デフォルトでindex.htmlが自動作成されています。このindex.htmlファルを適宜変更して、Webページを作成する もしくは フリープラグインでWordPressをインストールしてWebページを作成する事も出来ます。
Webサーバー側にはユーザーアカウントが不要です。Webサイトの管理者はWebページの更新など、ひとり情シスでの運用に対応しています。
デフォルトのindex.html
https://wp-sam.mubit.jp/index.html
WordPressインストール
フリープラグインでWordPressを選択します。
WordPressを「インストールボタン」を押すだけで、簡単にインストール&セットアップ出来ます。
Powered BLUE 対応のWordPressのインストールパッケージは、WordPress本体のインストールやセットアップなどを簡単化しています。機能などは通常のRedHat/CentOS 対応のWordPressと同一です。
WordPressの作成
「ブログを追加する」 ボタンを押します
パスの指定
WordPressをインストールする https://wp-sam.mubit.jp サイトのパスを指定します
今回は /develop-dep を指定
https://wp-sam.mubit.jp//develop-dep にWordPressがインストールされます
「ブログをインストールする」 ボタンを押します
尚、WordPressは同一サイト内に複数のインストールが出来ます
例 「ブログの追加する」 ボタンを押して
sales-dep
support-dep
などを指定して複数のWordPressをインストール
https://wp-sam.mubit.jp/develop-dep/
https://wp-sam.mubit.jp/support-dep/
https://wp-sam.mubit.jp/sales-dep/
のディレクトリにそれぞれ、個別のWordPressがインストールされました
WordPressのアップデート
WordPressはインストール後に、アップデートも可能です。
WordPressへの各種プラグインや操作&変更などは、通常のWordPressと同様の操作や運用が出来ます。
phpの有効化
WordPressのindex.phpが動作するように、phpにチェックを入れて有効にします
SAML2.0設定
SAMLのエンドポイントのパス 例 / を指定します(環境に合わせて適宜、変更してください)
idP側で作成のxmlのメタデータをインポートします
idP側で作成のメタデータ(xml)をアップロードします
SAML2.0の認証をかけたいdirを設定します
例
- /develop-dep
- /sales-dep
- /support-dep
SAML認証のディレクトリ(アクセスURL)
https://wp-sam.mubit.jp/develop-dep/
https://wp-sam.mubit.jp/sales-dep/
https://wp-sam.mubit.jp/support-dep/
この3つのURLには、idP側のSAML認証が設定されていないとアクセスができません。なおSPとなるWebサーバー側には、ユーザーアカウントは不要です。
上記の3つのURLがSAML認証に対応の「アクセスURL」となります。
グループでのアクセスコントロールが無い場合には、SP側の設定はここまでです
attributeの指定
グループでのWebへのアクセスコントロールを行なう場合に、attributeを追加設定します
それぞれのパスに対して、idP側で設定の attribute-value もしくは ロール の指定が出来ます
SP側で attribute=”groups” value=”mbt” というattribute value でのアクセスを許可の場合の設定例
SAMLの有効化
設定のサイトのSAMLを有効にします
idP側の設定
IDaaSでSAML2.0をサポートしていれば、Powered BLUE Web for SSO/IDaaSと接続が出来ます。今回はidPとして日本国内のクラウド基盤で運用されているISR社の「 CloudGate UNO 」を利用します。
利用者側では、「Powered BLUE Web for SSO/IDaaS」に作成したSP側の情報
- アクセスURL
- エンティティID
などのSP側のxmlファイルの情報を「CloudGate UNO」の管理画面から登録します
「SPメタデータのダウンロード」ボタンを押すことで、SP側のxmlファイルがダウンロード出来ます
グループアクセスコントロールの有無に際しては、一部の作業をISR社側に依頼する必要がございます
*「CloudGate UNO」と「Powered BLUE Web for SSO/IDaaS」のSAML認証は確認済です
アクセス
SAML認証のサイトへのアクセス
https://wp-sam.mubit.jp/develop-dep/
初回
シングルサインオンでは、最初は一度 idP / CloudGate UNO へのログイン
ターゲットのwebページ
SAML認証を設定のターゲットのWebページが表示されます
SP/Webの2重化
SP側のWordPressや一般のWebページを2重化して、シングルサインオン/SAML認証でWebアクセスを負荷分散させる構成にも対応しています。
多要素認証
idP側の認証とは別に、「Powered BLUE Web for SSO / IDaaS」のSP上で単独で
- SSLクライアント認証
- ワンタイムパスワード認証
を設定して運用する事が出来ます
SSLクライアント認証
SP上でPrivate CAを運用 SSLクライアント証明書を発行してSSLクライアント認証によるアクセスコントロールが出来ます。
OTP/ワンタイムパスワード認証
SAML対応のリバースプロキシ
Powered BLUE SSO対応の製品には、SAML認証対応のリバースプロキシもあります。社内LAN側に設置のSSOに対応してないWebサーバーへ、SAML認証後にリバースプロキシでアクセスさせることが出来ます 「Powered BLUE Reverse Proxy SSO/IDaaS 」
CloudGate UNOとのSAML認証後のリバースプロキシ連携にも対応しており、社外から社内LAN側に設置のWebサーバーへのアクセスに有効です。
CloudGate UNOを利用/SAML対応のリバースプロキシで社内Webへアクセス
代理入力&リバースプロキシで社内Webへ自動ログイン
社内LAN側に設置のSSO/シングルサイオンに未対応のID/パスワード入力を要求するWebサーバーに、CloudGate UNOの代理入力機能を使って社外からアクセスする方法です。オンプレミスの社内WebアプリへのアクセスにIDaaS/idPのCloudGate UNOと連携が出来ます。
CloudGate UNOの代理入力を利用してリバースプロキシ経由で社内Webへ自動ログイン
終わりに
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